稼働開始から数十年という長い期間が経過すると、タンクの底板に腐食進行による損傷が発生します。従来はタンクを開放してから磁束漏洩試験(MFL)で底板全面検査を行っていましたが、欧米各国では1980年代末頃からAE試験による評価が試みられてきました
これまでに実施された3000例を越える試験例で構築されたデータベースを基に、AEのデータを評価。開放することなくタンク底板の腐食進行・損傷を判定します
発電所や化学プラント、また家庭用のガス配管など、さまざまな配管設備が使用されています。配管内部の腐食、あるいは支持部の腐食進行により漏洩が起こると設備の稼働のみならず、漏洩した流体の損失や環境の汚染など、その影響は甚大です。超音波による厚み測定や、開放点検が行われていますが、検査には多くの時間を要し、特に支持部の検査は困難でした
配管の腐食活動度と検出されるAEエネルギー総量との間に相関が認められます。腐食損傷評価においては、腐食面積の評価が重要ですが、腐食の深さ(減肉量)の評価も同様に重要です。稼働中に配管の腐食進行と漏洩の有無を評価することができます
近年用途が増大しているメカニカルシール(回転機器)は過酷な条件下で使用されることも多く、早急な損傷評価技術の開発が望まれています。重合槽の攪拌軸は回転数が数rpm〜数百rpm 以下と低く、従来の振動法などの適用が困難でした
AEは摩擦・摩耗現象に相関して変化します。メカニカルシールが損傷してその表面の粗さが増大すると、発生するAEの振幅が上昇するので、軸受のはく離はもちろん、潤滑不良およびシールの劣化を評価できます